強行突破




エクシアが勝手に出撃し、トリニティと交戦を始めた日。
あのティエリアまで、まさかの無断出撃をした。
そして、ロックオンもその場に駆け付けた。
そこまではいい。そこまではいいのだけど。

トレミーに帰って来た三人は、何だか必要以上に打ち解けていたような気がする。
聞いても、答えてくれないし。
刹那とティエリアなんて、本当にわだかまりも何もなくなってしまって…。
今まではあんなに、ことあるごとにぶつかっていたのに。
三人が仲良く話す様子を見て、アレルヤは結構自分が落ち込んでいることに気付いた。

何だろう、この拭えない疎外感は。
アレルヤは溜息を吐くと、部屋の隅に腰を下して膝を抱えた。
うっかり照明を点け忘れているけれど、そんなことも気付かない。
膝を抱える腕にぎゅっと力を込めると、アレルヤはもう一人の自分に向かって話し掛けた。

「ハレルヤ…どう思う?みんなあんなに仲良くなってさ」
「ああ、解かってるよ。どうせぼくはまともに幸せになんてなれないんだ、でも…ロックオンまで、酷いと思わないかい?」
「え、何?ヤってしまえって…いや、そこまでする必要があるのかい…」
「え、ええ…?!嫌われついでに犯せって…?そんなことしたら、もう心を開いてなんてくれなくなる…」
「心は開かなくても別のところが…って、ハレルヤ!なんてことを…!」

部屋の隅に蹲って、アレルヤは頭を抱えた。
本人は至って真面目にこの境遇を憂いていたのだけど、一人で青くなったり赤くなっている姿は、はたから見ているとかなり異様だ。

「ハレルヤ…うん、うん、そうだよね」
「ロックオンは鈍いよ。肝心なところでさ…。今までだってずっとそうだったんだ…」
「ああ、やっぱり実力行使かな…。出来るかな、ぼくに」

ややすると、会話が当初のものとは大幅にずれ始めたのだけど、それを咎めるものもいない。

「ああ、解かったよ、ハレルヤ…」

やがて、何かを決心したように呟いたアレルヤは、すくっと部屋の隅から立ち上がった。



その、数分後。
アレルヤはロックオンの部屋を訪れて、未だに何が何だかと言う顔をした彼を、思い切りベッドに押し倒していた。

「え、ええと…アレルヤ」
「はい、何ですか」
「いや、その…俺は、一体どこから突っ込めばいいんだ」
「突っ込むのはこちらです、ご心配なく」
「……!!!そ、そう言う話をしてるんじゃ…!お前、いつからそんなことを…」
「大丈夫です、優しくしますから。もっとも、加減出来るかは解かりませんが」

笑顔でさらりと言って、アレルヤはロックオンの衣服をぐい、と捲り上げた。

「ま、待て!お前っ!言ってることが全然解からな…む、ぐ!」

誰が聞いてもごく当然の抗議を上げようとしたロックオンの言葉は、勢い良く口元に押さえつけられたアレルヤの手に吸い込まれて、最後まで発することが出来なかった。