ロク+フェル+アレ。
SS
地上に降りていたとき。
預かっていたハロを返しに、フェルトはロックオンの部屋へ行った。
「悪いな、フェルト」
「ううん…」
両手で抱えていたハロを手渡すと、彼は優しそうな笑みを浮かべた。
そして、フェルトの手から受け取ろうとした、正にそのとき。
「フェルト、モット!フェルト、モット!」
そんなことを言いながら、ハロがフェルトの手の中から飛び跳ねた。
「あ、こら。ハロ!」
慌ててロックオンが手を伸ばしたけれど、ハロは素早く避けて、更に飛び跳ねた。
いつもは、こんなことしないのに。ロックオンの言うことは絶対に素直に聞くのに。
フェルトともっといたいと、ハロが思ってくれるのは、嬉しい。
でも、ロックオンを困らせてはいけないから、フェルトも一緒にハロを捕まえようと手を伸ばした。
「ハロ、おいで」
「イヤダ!イヤダ!」
「お、おい、ハロ!」
部屋のあちこちをハロが飛び跳ねる。
逃げ道を塞いだロックオンが、フェルトに向かって声を上げた。
「今だ、捕まえろ!フェルト!」
「はいっ」
言われるまま、思い切ってハロに飛び付く。
何とか両手で抱えることは出来たけれど、フェルトはバランスを崩してロックオンと一緒に床に倒れ込んでしまった。
「いた…」
「大丈夫か、フェルト」
もつれるように一緒に倒れたので、何だか押し倒しているみたいな体勢になってしまった。
痛みを堪えて、慌ててロックオンの上から退こうとした、直後。
「ロックオン」
呼び声と一緒に、キイ、と扉が開いた。
入って来たのは、トレミー一間の悪い男、アレルヤ・ハプティズム。
「「「……ぁ」」」
三人同時に、ぎし、と固まり、何だか間抜けな声が出た。
そして、数秒後。
「し、し、失礼…っ!!」
「またかよ!!誤解だっての!!」
「……」
以前鉢合わせたときよりも真っ赤になって身を翻したアレルヤに、ロックオンは引き攣った声を上げた。
終
04.05