egoism




「何サボってやがる、しっかり動けよ、アレルヤ」
「……っ」

挑戦的な、けれどどこか快楽に酔ったような視線を上げて、ハレルヤは口元を歪めて笑った。緩く彼の中を突き上げていたアレルヤは、ぐっと中で締め付けられて小さな吐息を漏らした。

「無茶言わないでよ、ハレルヤ」

眠っていたところを叩き起こされて、半ば無理矢理襲われるような形でことに及んだのは、まだつい先ほどのことだ。
と言っても、組み敷いているのは自分の方なのだけど。

「そんなに言うなら、きみが動けばいいじゃないか」
「嫌だね、何で俺様が」
「……」

ハレルヤの物言いに、アレルヤはぐったりとしたように吐息を吐いた。
でも。確かに、吸い付くように絡んでくる内壁は快楽を齎してくれることには違いない。

「仕方ないね」

観念したように軽く溜息を吐くと、アレルヤはハレルヤの両腿を掴んで、ぐっと左右に押し広げた。

「んっ、つ!」

深くなった繋がりにハレルヤが小さく呻く。
ぎり、と睨み付ける視線を無視して行為を進めると、彼はじたばたと暴れ出した。

「てめぇ、止めろよ!」
「止めろって、きみが言ったんじゃないか」

呆れたように言いながら、もう知り尽くしている彼の敏感な場所を突き上げる。

「くっ…ぅ」

文句を言おうとしたハレルヤの声は、甘ったるいような掠れた声に摩り替えられてしまった。

「は、ぁ、くそ…、んなとこ、ばっかり…」

少しずつ呼吸が上がっているのに、尚もそんな言葉と共に睨み付ける金色の目に、アレルヤは口元を綻ばせた。気を抜いていれば叱咤されるし、彼の余裕を乱すようなことをしても駄目とは。全く持って、我侭なことこの上ない。
でも、ハレルヤにどう接したらいいかなんて、もう解かっている。

「だから、きみが誘ったからだよ」

優しく穏やかな口調で告げると、今度ははゆっくりと焦らすように中を突き上げた。

「…っ、アレルヤ」

急に途切れた快感に物足りなさを感じたのか、大きく胸元を上下させて呼吸を整えたハレルヤが非難の声を上げる。
どっちにしろ、悪態が尽きることはない。でも、こうしていると、やがて彼の方が痺れを切らすのは解かっている。

「いい加減にしろ、てめぇ」

やがて、苛々した口調で吐き捨てると、ハレルヤは繋がったままの状態で無理矢理身を起こし、上に乗っていたアレルヤをそのまま組み敷いた。体勢が逆転して、アレルヤの背中にはマットの感触がする。

「きみが動いてくれるのかい?」
「へっ、てめぇが不甲斐ねぇからだよ。見てろ、泣きみせてやる」

始めよりもずっと挑発的な口調で告げると、ハレルヤは唇の端を吊り上げて笑った。

「いいよ、別に。この方がぼくも楽だしね」

彼に聞こえないようにそっと呟きを漏らし、アレルヤは上位にいるハレルヤの内腿に撫でるように手の平を滑らせた。